写真はブレとの戦い。
というと少々大げさだが、せっかくの写真がブレてしまっては何にもならない。正確な統計数字ではないが、一般にピントが甘いとされる写真の8割方が実はブレだ、という説もあるぐらいだから相当ブレている写真は多い。
実は、ブレとピンボケとはわかりにくい。更にレンズの性能による解像力の甘さが加わると、余計にわかりづらい。
と言うことで、今回は永遠のテーマであるブレについてのお話。
上段の3つのサンプル写真は、茂原公園の夜桜を高所から撮影した画像を拡大したものである。(撮影順は左から)
■左は116mmの焦点距離に絞り13 シャッタースピード1.3秒(+0.7)
→まず、最初の撮影でモニタを拡大してブレの確認。
■中央は116mmの焦点距離に絞り5.6 シャッタースピード1/4秒(+0.7)
→絞りを開けてシャッタースピードを早くしてブレをチェック。被写界深度が浅く、ピントのシャープさが不足していると同時に、ブレているようにも見える。
■右は100mmの焦点距離に絞り16 シャッタースピード1.3秒(+0.3)
→仕上げ時に無理なくトリム出来る範囲での画角を確保して焦点距離を短くすることによるブレ軽減。絞りを半絞り絞ることによる被写界深度の増加。1.3秒の露光時間を確保するために、許容以内に収められるだけ露出を少しアンダーにしてブレを抑えることに成功した。
つまり、条件的にブレる可能性のあるときは、まず焦点距離を少し短くしてプリント時にトリミングする(これはクロッピングといい、画角は撮影時に決めておき撮影する。例えば6×6のフィルムカメラ使用時に、正方形の画面を横位置で撮影イメージを作って撮影することと同じ)ただし、35mmサイズのデジカメ・フィルムカメラは大きなトリムは画質劣化につながるので最低10%程度までのクロッピングにする。
次に、露出を若干アンダーにしてシャッタースピードを速くする。適正な露出よりも-0.7絞り程度なら、なんとかプリントで処理は可能。(フィルムは-0.7~1程度)
以上、これはどうしてもブレを抑えられない時の緊急処置として覚えておくとよい。リバーサルフィルムの場合は優先順が逆で、露出→焦点距離の対処のほうがいい。デジタルカメラを使用している方は、感度を上げてシャッタースピードを速くすることを考える撮影者が多いが、これはノイズや色調に影響するので止めるべきで、画質への影響を考えたら、風景でISO400まで、スナップでも色調・質感をもとめるならISO800までに抑えて撮影することが望ましい。
せっかく撮影した写真が、ブレてしまっては元も子もない。
撮影は、一期一会なので、せっかくのチャンスをモノにしないとMOTTAINAI。