被写界深度とピント

2013.07.29 明野ひまわり data:33mm f14 1/100sec
2013.07.29 明野ひまわり data:33mm f14 1/100sec

先日のまぐまぐメルマガでも述べました被写界深度について、問い合わせを何件かもらいましたので、もう少し詳しく説明します。

被写界深度は同じ画角のレンズを使った場合、フォーマットが小さいほうが被写界深度が深く、フォーマットが大きいほど被写界深度は浅くなると述べました。と言うことは被写界深度はフォーマットサイズが小さいほうが被写界深度は有利ということになります。(フォーマットサイズ=センサーサイズ)

単純に考えたら、大きいカメラを使うよりも小さいカメラのほうがピントはいいのではないかと思いますね。

確かに被写界深度=ピントと考えればそうかもしれませんが、写真のピントは被写界深度の深さだけでシャープ感を感じるわけではありません。

 一般に、ピントがいいという言葉は被写界深度を表しているのではなく、解像度・コントラスト・トーン・ピント位置などが全てバランスよく揃ってピントがいいと感じるわけです。

同じカメラで、画角・絞り・ピント位置が同じでも、廉価版のレンズと高級レンズではピントは違って感じます。高級レンズは、ピントの結像がキリッとシャープなだけでなく、コントラストも十分あり、階調も豊かです。

写真を大きく伸ばした場合、センサーサイズがAPS-Cサイズとフルサイズ(35mmサイズ)であれば同じ被写界深度であれば、フルサイズのほうがピントがよく感じます。(解像度・トーン)

他にも被写界深度が深くても、どんより曇ったときは、晴れた日よりピントがシャープに見えませんね。(コントラスト)

そして、ここが重要なのですが、ピントの合わせる位置によってピントのシャープ感が違って感じます。手前のピントが甘いと、画面の奥がシャープであってもピントがあっている写真に見えませんし、すこし画面奥が甘くても、手前がピシっとピントが来ていると奥のピントの甘さはさほど感じません。

ですから、風景写真のプロやベテランはわざわざ被写界深度の狭い中判カメラを使って撮影するわけです。

大判カメラにいたっては、アオリが効くので被写界深度を調整して深くすることができます。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%82%E3%81%8A%E3%82%8A_(%E5%86%99%E7%9C%9F)

これにより、アオリなしの単純な数値上の被写界深度よりも深くピントをあわせることが可能になり、フォーマットサイズの大きさから細密な質感描写や豊かなトーンをも実現できるのです。

もちろん、言うまでもありませんが、ピントや質感・トーンがすべてが揃ったからいい作品というのでもありませんし、作品の内容によっては、この全てが揃わなくてもいい作品はあります。

絞りに関しても回折現象を気にせず、絞り込む写真家もいます。この件に関しては、デジタル処理によってシャープやコントラストを改善できるので問題ないともいえます。

これは作品スタイルによって違ってきます。

よって、あなたにとって最も重要視する点はどこか?ということからカメラを選び、レンズや絞りも決定するようにしましょう。

ピントや質感を重視したいのにコンパクトカメラを使っているのであれば、どんなに頑張って画像処理しても、フルサイズカメラの質感を出すことは不可能です。