写真のイメージとは

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sample写真は、全てクリックすることで拡大できます。

注)拡大すると霧にモアレが出ていますが、これはWebサイズに縮小しているために発生しているもので、実際の画像には出ていません。

写真はまずイメージ(完成画像)があり、その完成画像を逆算して撮影に至る。

私は常々このように言っています。

この時に、よく質問されます。

どうしたら完成のイメージを想像できるのですか。

全くイメージが湧きません。

との質問です。

この答えの前に、写真の前提条件について知っておく必要があります。

それは、写真と現実は違っていて、同じ階調・色調では写らないということです。

次に、写真は強調と省略によって表現する媒体であるということです。

よって、見た目通りにプリントしようとすることが、その条件から外れているということです。

その前に、見た目とは何かですが、実は見た目ではなく、感じていたことが見た目であると判断している場合が多いのです。

たとえば、上のサンプル写真ですが、霧が移動してる瞬間をタイミングを変えて撮影しています。

殆どの人は霧の写真だから最も霧が深い時がいいであろうと判断します。

そうなるとsample3ということになりますね。

ところが、この原版はあまり霧の質感を表現するには適していません。

何故ならコントラストが低すぎるからです。

では、ハッキリとしているsample1はどうでしょうか。

これでは、前景の木立がはっきりしすぎて、霧の中という感じが十分に表現できません。

ということで、sample2が最も霧を表現するという意図にあっているタイミングであると判断できます。

このように、単純に霧の撮影であれば、霧がかっていればいいというのではなく、どのタイミングで撮影するか。ということにも意識をおきましょう。

この意識が習慣化すれば、仕上げのポイントが見えてきます。

霧の感じを十分に表現しながら、手前の木立も霞まずにシャープに表現できるタイミングで写真を撮影し、仕上げで強調をしていくのです。

つまり、霞んだ感じは、より霞んだ感じに、ハッキリしている部分は、明瞭に表現していく、全体の画面上重要ではない奥の木立の幹より、中央のダケカンバの白さとコントラストを強調しながら質感を出していく。これにより中央のダケカンバが主役であると表現されます。

つまり、主役にスポットライトをあて、脇役はその主役を引き立てるようにするわけです。この意識があれば写真の仕上げが格段に進歩します。

もちろん、それを可能にするスキルを身につける必要がありますが、まずは主役と脇役を認識する。この意識をもって、構図とタイミングに磨きをかけましょう。